増え続ける2つの空き家問題

今後、増え続けると予想される空き家問題には、大きく分けて2つの原因があります。
1つ目は、高齢化社会に伴い、空き家が急速に増加すること。
2つ目は、空き家の所有者が適切な管理や有効的な活用できていないことです。
これら2つの原因を軸に、空き家問題について詳しく説明します。

高齢化社会問題

近年、高齢化社会問題に伴い、日本の空き家数は増加傾向にあります。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)」によれば、2023年10月1日時点での全国の空き家数は900万戸に達し、これは2018年の849万戸から51万戸の増加となっています。また、空き家率も13.8%に上昇し、過去最高を記録しています。

このように、空き家は年々増加しており、2033年には空き家数が約2,146万6千戸、空き家率が30.2%に達するとされています。

「空き家」は、以下の4種類に分類されます

  • 賃貸用の空き家

    アパートやマンションの空室や貸し出される予定の空き家。主に不動産会社が管理。

  • 売却用の空き家

    売却目的で不動産市場に出されている空き家。主に不動産会社が管理。

  • 二次的住宅(別荘など)

    別荘やセカンドハウスなどが該当。所有者が管理。

  • その他の空き家(問題となる空き家)

    上記以外の空き家。所有者が管理。

4つの種類に分類された、中でも問題になっているのが売りにも、貸しにも出しておらず、定期的な利用がされていない状態の「その他」に分類される空き家です。

「その他」の空き家は、他の空き家に比べて管理する動機が弱く、今後急速に増加すると予想されています。

空き家が発生する最も一般的な原因は、自宅を所有する高齢者が老人ホームや子供の家へ転居することです。日本では高齢者人口が急速に増加しており、それに伴い空き家の数もさらに増えることが懸念されています。特に、駅から遠く利便性の低い住宅街では、住民の流出が進み、空き家が一気に増加することが予想されます。

空き家の増加は、単に放置された住宅が増えるという問題にとどまりません。地域の人口が減ることで、地域の活力が著しく低下し、インフラ維持が困難になるという大きな影響をもたらします。例えば、道路の利用家族数が100家族から50家族に半減すれば、1家族あたりの維持費の負担は倍増します。さらに、人口減少が進むと、スーパーや銀行、クリニックなどの生活に不可欠な施設の撤退が相次ぎ、利便性が低下することで、さらなる人口流出を招く悪循環に陥る可能性が高まります。

対策

日本政府は、2025年までに「その他」に分類される空き家の数を、現在の約500万戸から100万戸まで抑制することを目標としています。しかし、現状では年間約50万戸の建物が解体される一方で、新築住宅は毎年100万戸近く供給されており、空き家の増加を食い止めるにはこのバランスを逆転させる必要があります。

人口減少や都市部への移住により、不動産の買い手が減少している中で、空き家の有効活用や解体を促進することは容易ではなく、この目標の達成は非常に難しいと考えられています。今後、空き家対策のさらなる強化が求められるでしょう。

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空き家所有者が直面する管理と活用の課題

2015年5月に「空家等対策特別措置法」が施行されて以降、「空き家問題」という言葉を目にする機会が増えました。空き家について語られる際、多くの場合は所有者の立場ではなく、近隣住民の視点から語られがちです。その結果、空き家は「地域の景観や安全性を損なう存在」として、否定的なイメージが定着してしまいました。

しかし、空き家の問題は決して「管理責任を問われる側」と「影響を受ける側」という単純な構図ではありません。実際には、所有者自身も空き家の管理や活用に頭を悩ませているケースが多く見られます。こうした問題の多くは、法律や税制の制約、あるいは建物の老朽化や立地の問題といった物理的な要因に起因しており、容易に解決できるものではないのです。

所有者が抱える問題

空き家の多くは、もともと高齢者が暮らしていた自宅や、親から子供が相続した実家です。そのため、売却や活用に踏み切ることに抵抗を感じる人も少なくありません。
所有者や相続人といった立場ごとに、どのような課題を抱えているのかを考えることが重要です。

親が自宅を所有している場合

高齢の親が老人ホームや子供の家に移り住み、自宅が空き家になった場合、その利活用には多くの課題が伴います。いざ片付けを始めようとしても、思い出が詰まった家の整理がなかなか進まなかったり、最後は自宅に戻りたいという思いを抱えていたりすることが少なくありません。さらに、認知症を患うことで適切な判断が難しくなり、家の活用について結論を出せないケースもあります。たとえ子供が管理の負担を理由に売却を勧めたとしても、親が納得せず話が進まないことも多く、結果として長期間空き家のまま放置されてしまいます。

自宅が空き家になってしまっている主な原因

  • 最期は自宅に戻りたいという思い
  • 思い出が詰まっているため整理が進まない
  • 認知症により、不動産の売却や活用の判断ができない

子供が実家を相続している場合

実家の利活用に悩むのは親だけではありません。子供が相続した後も、実家の活用や管理は決して簡単ではないのです。多くの場合、相続した子供はすでに別の場所で生活しており、空き家の利活用についてどこに相談すればよいのか分からず、具体的な対策を講じられないまま時間が経過してしまいます。
さらに、相続した兄弟姉妹の間で意見が対立することも少なくありません。例えば、一方が売却を希望するのに対し、もう一方が親の思い出を理由に売却に反対するなど、利活用に関する意見の食い違いが問題を複雑にします。どちらの主張も親の意思を尊重しようとするものであり、一概にどちらが正しいとは言えません。そのため、互いに譲歩しにくく、結果として実家の活用が進まないまま放置されてしまうケースが多いのが現状です。

実家が空き家になってしまっている主な原因

  • 利活用の相談先が分からない
  • 兄弟間で意見が対立する
  • 遠方に住んでいて、複雑な手続きが必要となため放置される

対策

自宅や実家が空き家になってしまう理由はそれぞれですが、利活用の決定には数年、場合によっては10年以上かかることもあります。その間、住む人のいない住宅は急速に劣化しやすく、老朽化が進むと屋根や外壁が剥がれ落ちたり、建物自体が傾いて倒壊の危険性が高まるなど、さまざまな問題を引き起こします。

空き家の管理が行き届かず、周辺環境に悪影響を及ぼしている場合には、「空家等対策特別措置法」 に基づき、行政から指導や処分が行われることもあります。自力での管理が難しい場合は、専門の代行業者を利用し、適正な維持を心がけることが重要です。

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空き家も適正な管理が求められる時代へ

空き家条例/空家等対策特別措置法の制定

周囲に悪影響を及ぼす恐れがある空き家は「特定空家」に指定され、所有者には適正な管理が義務付けられます。

行政の取り組み

都道府県は「特定空家」指定の指針を策定し、市町村は空き家対策の窓口として実態調査や協議会の設置を行っています。しかし、対策の進み具合には自治体ごとに差があり、一律ではありません。具体的な対応については、所有する空き家の自治体へお問い合わせください。

補足

このように、行政による空き家対策が進む中で、所有者の方から不安の声をいただくこともあります。しかし、適切に管理されている空き家であれば、過度な心配は不要です。

当センターでは、行政と連携しながら空き家問題の解決に取り組んでおります。管理や活用、相続に関するお悩みもサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。

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